バッテリートラブルと自動車の電子制御化
皆様こんにちは、サービス・テクニシャンの青柳です。
6月に入ってから暑い日が続いております。
「6月ってこんなに暑かったかなぁ」とオジサン世代は思う今日この頃ですが
ともあれ厚い!
人間も暑さで体調を崩すように車も暑さでダメージを負う事がございます。
その代表例がバッテリーです。
私が自動車業界に入って間もないころと比べ世代を追うごとに自動車の
電子制御化が進んでおります。
それに伴いバッテリーの果たす役割も増大しバッテリー自体も高性能化しておりますが
それでも夏場のバッテリートラブルは減少したように思えません。
車検や定期点検のお見積りでバッテリーをお勧めさせて頂く事もあるかと思いますが
我々整備職でも外観の見た目で良否の判定はできませんのでバッテリーテスターや
ボルボ専用診断機を使っての診断において良否判定をしております。
見た目で判断できないバッテリー内部状態を数値化した状態です。
画像は別々のバッテリーですが共に良好ですね。
ただし見た目で判断できないことが多いバッテリーですが見た目で判断できる場合もございます。
画像はボルボV50のエンジンルーム内のバッテリーです。
赤丸の部分がバッテリーのプラス端子部分ですが何やら白い粉が付着している状態が確認できます。
バッテリー内部には電解液として希硫酸が封入れていますが希硫酸のガスが漏れ出て再結晶化した硫酸又は
希硫酸ガスと反応したバッテリー端子(鉛)から生成された硫酸鉛になります。
青い粉は希硫酸ガスと銅で作られているバッテリーターミナルが反応した銅の錆である緑青(ロクショウ)になります。
共にバッテリー内部にダメージがある場合に発生しやすい症状です。
このお車は12vバッテリーを使用していますが入庫時の電圧測定では10v程(充電不足)しかありませんでした。
じゃあ不足の2vを充電すれば解決!
とはいかないんです・・・・
その理由としては12vバッテリーの構造にあります。
公称12vバッテリーは2vのお部屋が6個で 2x6=12v となります。
バッテリーを分解して不具合を追求してはおりませんが恐らく6個のお部屋のうち
1つが蓄電できない状態になってしまったがために 2x5=10v となってしまったと思われます。
基本的にはバッテリー修理はできませんので交換となります。
新品のバッテリーを装着し接続部分やケーブル類を磨いて完成です。
この時に緑青(ロクショウ)や硫酸鉛を綺麗に除去しなければ通電不良をおこしてバッテリーの能力を
最大限に引き出せなくなります。
もしご自分のお車でバッテリー端子付近にこのような粉が付いている場合はバッテリーがダメージを
負っている場合があるのでお早めにご相談ください。
また3~4年ご使用の場合も予防の観点から交換をお勧めいたします。
人間も車も季節に合わせた予防やケアがトラブルを未然に防ぐコツではなかろうかと
思います。
それでは皆様暑い夏が始まりますのでお身体ご自愛くださいませ。